横浜からIターン。いちばん驚いたのは… - TOYOOKA WORK STYLE(ジョブナビ豊岡)

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2021.03.22

横浜からIターン。いちばん驚いたのは…

橋本 康太さん(はしもと こうた) 36歳

はばたけ手をつなぐ育成会

Iターンした年齢 31歳

こんにちは。「FM ジャングル」のパーソナリティ&「飛んでるローカル豊岡」の市民ライターをしている田上敦士です。城崎で生まれ育ち大学進学で上京、大阪の放送局に 30 年余り務めた後、昨年春に早期退職して豊岡に帰ってきました。

今回は、障害を持つ人々とその家族を支援する事業をおこなう認定 NPO 法人「はばたけ手をつなぐ育成会」に勤務されている橋本康太さんにお話を伺いました。橋本さんは横浜市出身で2016年4月に豊岡市に移住されています。

横浜からIターン。いちばん驚いたのは…
まずはお仕事の内容から教えてください。
橋本
「はばたけ手をつなぐ育成会」では3つの拠点施設があるのですが(このほかにグループホーム等もある)、その一つである「ほっと塩津出張所」の施設長代理を務めています。この施設では知的障害のある利用者の方がアルミ缶の回収作業をしています。地域から回収したアルミ缶を施設内で仕分け、トラックで業者に届けるのですが、その際の車の運転などのサポートをしています。作業以外に、ウォーキングなどの生活支援活動もしています。また、今は、職員のシフト管理などのマネージメント業務もしています。
横浜からIターン。いちばん驚いたのは…
(3つある拠点施設のうちのひとつ  はばたけOLUOLU)
生まれも育ちも横浜市とうかがいましたが、どうして豊岡へ?
橋本
ここに入ったきっかけは、友人がここで働いていて、話を聞いていると楽しそうだったので紹介してもらいました。理事長とお話して「面白そうだな」と感じたので、入れていただくことにしました。ここに来るまでは、横浜で、全く違う職種の仕事をしていました。正直、豊岡という土地については、来るまで何も知らなかったんです。そもそも日本海側に行ったことさえなくて(笑) だから、この土地の何かに憧れて豊岡に来たというわけではないし、障害者介護の仕事に強い関心があったわけでもないんです。ホントに「知らない土地を見てみたかった」という軽い気持ちでした。
横浜を離れて、初めて住んだのが豊岡…ギャップが大きかったのでは?
橋本
確かに、最初は不便だなと思いました。コンビニは近くにないし、夜になると家の周りは真っ暗だし。ただ、それはすぐに慣れましたね。今は逆に「自然に囲まれて、静かでいいところだな」と思っています。遊びに行くところもあまりないのですが、もともとインドア派で休日は家でテレビを見たりゲームをしたりしているタイプだったので、それもそれほど気にならないです。
それよりも、気候への戸惑いの方が大きかったですね。来て最初の冬は大雪で、それまで「雪が積もる」という経験をしたことがなかったのでびっくりしました。「冬になると車のタイヤを替えないといけない」というのを初めて知りました(笑)あと、野生のシカを初めて見ました。一回クルマでぶつかりそうになって、「すごい世界だなぁ」と思いましたね。野生のイノシシも見ましたよ。
横浜からIターン。いちばん驚いたのは…
今のお仕事は、どうですか?
橋本
ここに入って5年経って、グループホームでのヘルパー業務とか、就労支援とか、法人内の仕事は一通り経験させてもらいました。なかなか思うように進まないことも多いですし、自分自身、まだまだ勉強しないといけないことが多いなとは思っていますが、やっていることが利用者の方の生活の安定に直結しているという意味ではやりがいを感じています。ただ、一つだけ、どうしても慣れないことが…
それは何ですか?
橋本
畑仕事というか、土を触るのだけがどうしても苦手で。横浜では周囲に土の場所といえば学校の校庭くらいしかなく、畑仕事とか泥んこ遊びとか全く無縁だったので…畑仕事は業務の一環としてあるので、もちろんやってはいるのですが、これだけは慣れないですね。
横浜からIターン。いちばん驚いたのは…
将来についてはどう考えていますか?
橋本
いろんな施策は進んでいますが、障害者に対する社会の理解はまだまだ進んでいないなとは思っています。ウォーキングで外を歩いている時に、周りの人たちの視線からそう感じることは多いですね。ですから、自分なりに、施設の利用者と支援者、あるいは支援者同士をつなぐ役割を果たせればと思っています。もともとそんな風に強く思っていたというよりは、その役割を期待されているのであれば、それに応えていきたいという方が正確かもしれません。横浜で仕事していた時には、自分に何かを期待されていると感じたことがなかったので。ですから、ここを離れてどこかほかの土地に行くことは全く考えていないです。こちらに来てから、5年の間に法人の業務もだいぶ様変わりしました。当初聞いていた話と、だいぶ違うんですよ、いい意味で。「そんなことやるなんて、聞いてないよ」みたいな新しい事業がどんどん始まっていくので、刺激に事欠かないし、何より毎日が楽しいです。
横浜からIターン。いちばん驚いたのは…
(左から 中井佳与子理事長・橋本さん・成尾美恵事務局長)

【取材を終えて】

「横浜から豊岡へ移住された方」と聞いていたので、どんな強い決意を持って来られたのかと思っていたのですが、「特に深い理由はないです」という言葉を聞いて、正直ちょっと拍子抜けしました。ただ、橋本さんの口調からは「今自分のいる場所でしっかりと自分のするべきことをしよう」という強い意志が滲み出ており、風に流されながらも幹はしっかりと根を張っている柳のような強さとしなやかさを持った方だと感じました。