豊岡で働くひと

豊岡に暮らす先輩たちの様子をレポートします。

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日和山観光株式会社 本多なつ野さん 〜長年の夢。動物たちと目を合わせられる仕事〜

2021.12.21

本多なつ野(ほんだなつの)さん 27歳
日和山観光株式会社
Iターンした年齢 23歳

こんにちは。飛んでるローカル豊岡で市民ライターをしている齊藤栄理香です。豊岡市出石町出身。大学卒業後は神戸、東京、大阪で会社員生活を経て2019年にUターン。現在は農家さんの元でコウノトリ育むお米を栽培したり、市民ライターをしたりと自然の中で気ままに暮らしています。

今回取材に伺ったのは、城崎マリンワールドホテル金波楼城崎カンツリークラブ日和山食品の4つの事業を主軸に総合観光事業を展開している日和山観光株式会社です。その中でも城崎マリンワールドで飼育員として働く本多なつ野さんにお話を伺いました。

(城崎マリンワールド 大きなセイウチの銅像がお出迎え)

 

──水族館の飼育員になろうと思ったきっかけは何ですか?
本多
小さな頃から水族館の生き物、特にイルカが大好きで、気がついたらイルカのぬいぐるみが家にたくさんあったり、イルカの絵をたくさん描いたりしていました。5歳くらいから水族館の飼育員になりたいと思っていましたね。物心ついた時からの夢だったので、これというきっかけがないんです(笑)
──飼育員になることを目標に進学されたと思うのですが、城崎マリンワールドに就職するまでの経緯を簡単に教えてください。
本多
出身は愛知県で、農学部水産学科がある奈良県の大学に入学しました。私が在学中にたまたまイルカの研究室ができたので、そこでイルカについての学びを深めました。飼育員になりたいと考えている学生たちは、日本各地の水族館へ出向いて実習を行います。城崎マリンワールドは私の好きなカマイルカを多く飼育していたので、私も実習をしにここへ来たんです。そして、就活の時にちょうど飼育員の募集が出ていたので応募して合格し、こちらで働くことが決まりました。やりたい仕事ができる場所、それがたまたま豊岡でした。

(閉園後の体調チェックとエサやりの様子)

 

──実際に入社して働き始めた時はどうでしたか?
本多
いきなりショーに出られるわけではないので、エサ作りから始まりました。毎朝冷凍の大きな魚の塊を解凍し、傷がついている魚はそこから腐敗していくので取り除き、切り身にします。体重や体調によってエサの量が決まっているので、それぞれの動物に合わせて分けていきます。ここでもたついてしまうと、この後の動物たちの健康管理の時間が短くなってしまうので、怒られながら、バタバタしてましたね(笑)

どうやったら効率良く進められるのか、毎日ひたすら考えて、必死すぎて余裕がありませんでした。体力的にもキツくて、家に帰って気がついたら床で寝ていたなんてこともあります(笑)

──同僚の皆さんとすぐに馴染めましたか?
本多
入社当時は「先輩みんな怒ってるの?」って思うくらいビクビクしてたんです(笑)最初は手厳しいなと感じたこともありました。でもそれは、動物たちが水族館の主役で、大切に思っているからこそだということが分かりました。お仕事が終わったあとは、みんなホッとして笑顔が出て、プライベートの話をした時、普通に喋っているだけなのにすごく嬉しく感じたのを覚えています。

また、イルカの健康管理の処置は「せーの!」と声を掛け合ってみんなで取り組む場面が多くあります。好きなものが一緒だからこそ、チーム一丸となってみんな同じ気持ちで取り組めているんだと思います。

(それぞれのイルカ専用エサバケツ)

 

──豊岡に来てみて、住んでみて、どうでしたか?
本多
2017年の春に就職したのですが、大雪の年で…。雪で車が埋まることにびっくりし、すごく寒いし、冷たい水で手も荒れて大変でした(笑)何を着たらいいのか分からないので、UNIQLOでたくさん服を買い込んで、大きなカイロを貼って、ちょっとずつ慣れていった感じです。
──ご家族に心配されませんでしたか?
本多
最初はとっても心配していました。特に気候の変化が激しい土地なので、雪の予報が出た時は「降るみたいだけど大丈夫?」とか。でも、ここに勤めて4年半経過したので家族も安心しはじめています。それに家族にとっても私がここに居ることで、豊岡に来るのが楽しみになっているようです。今年も蟹シーズンが始まった11月に家族を呼びました。ホテル金波楼に泊まって堪能してましたね(笑)
──お休みの日は何をして過ごしていますか?
本多
コロナ禍の前は、野球が好きなのでよく大阪まで試合観戦に行っていましたし、豊岡のお店で美味しいご飯を買ったり、連休の日は車で愛知県の実家まで帰ったりすることもあります。
──徐々にお仕事や豊岡での暮らしに慣れていかれたのですね。4年半経った現在の1日のお仕事の流れを教えてください。
本多
現在はイルカ10頭、アシカ6頭をチームで飼育しています。
朝8時頃に出社し、それぞれの体重、体調や魚の仕入れ状況によりエサ作りをしていきます。基本はサバとホッケですが、今の時期ならカマスとか、たまにイワシも入りますね。
エサやりと健康チェックを済ませ、日中はショーに出演。その合間にショーに出ない動物たちにエサやりもします。
最後のショーが終われば、健康チェックとトレーニング。動物たちの様子をパソコンで入力。
その他雑務を終えて18時〜18時30分くらいに退社という流れです。
──ショーは本多さんも実際に水の中に入るのですか?
本多
はい。夏場は一緒に水に入ってショーに出ますよ!冬は流石にショーでは入りませんが、掃除はしなければならないのでボンベを背負って水の中に入っています。
──本当に体力が必要なお仕事ですね…。退社後にご飯を作って食べる体力が残っていますか?
本多
実はお昼と夜にご飯が出るんです!社員食堂でご飯を出してもらえるので本当にありがたいんです。

それに、私が住んでいる社員寮は水道代とガス代が寮費に含まれているので、湯船にお湯を張って、しっかりお風呂で身体を温めるようにしています。

(ホテル金波楼の朝食会場がお昼は社員食堂に)

 

──本多さんのこの仕事にかける想いややりがいを教えてください。
本多
一番は長年の夢が叶ったということです。今も夢心地の中過ごしているところもあります。疲れて大変なこともたくさんありますが、動物たちと目を合わせられるのがすごく嬉しくて!それだけで「大丈夫。がんばろう。」って。

動物たちが昨日できなかったことが、今日できている。成長が見られることが本当に嬉しいです。こちらが飼育している側ではありますが、動物たちに本当に支えられながら過ごしています。

──覚悟を持っていないとできないお仕事だと思います。逃げ出したくなることはありませんか?
本多
疲弊した時に「もう、実家帰ろうかな」って、ふと思うことがあります。でも辞めても私には何もない。きっと、私じゃない誰かが動物たちのお世話をしているのを見て、めちゃくちゃ悔しいだろうなっていうのが想像できるから、そこで踏みとどまります。

(目をよく見ると動物たちのその日のコンディションが伝わってくるのだそう)

 

──将来の展望を教えてください。
本多
他の水族館の飼育員さんの言葉を借りますが、自分を見て、飼育員になりたいって言ってくれる子どもが居てくれたらうれしいなと思っています。それが今の自分の仕事に取り組む軸になっています。動物たちと私の姿を見て、少しでも笑顔になってもらえたり、誰かの勇気に繋がって飼育員に憧れてもらえたら、こんなに嬉しいことはないなって思っています。

(本多さん(右)とイルカたちを挟んで奈良県からIターン就職した同僚の久米菜月さん(左) 2人とも眩しい笑顔が本当にステキ)

 

──最後に、これから豊岡で働こう、移住しようと思っている人に向けてメッセージをお願いします。
本多
豊岡は、年間を通して気温の変化が激しい土地です。特に私は冬の雪や寒さに慣れるまで大変だったので、事前に豊岡の気候をよく知っておくことをおすすめします。そんな大変な部分もありますが、私が暮らしている間にも高速道路が少しずつ伸び、これからもっと便利になってくるなと感じています。また、豊岡には目標や夢に向かって走っている人がいっぱい居るので、刺激を受けられてすごくいい環境だと思います。それにご飯が美味しいですし、自然がいっぱいで星がキレイ!魅力的なところもたくさんある街です。

(本多さんの手 特に冬は水が冷たく手が荒れる エサであるサバのヒレで生傷も絶えない)

 

【取材を終えて】

取材時、本多さんはマスク越しでも伝わる笑顔で出迎えてくれました。ふと彼女の手を見ると、冷たい水で赤くなり、傷が修復した痕やあかぎれも。お話を伺う前から仕事の大変さを垣間見ました。お話の中で特に印象的だったのは、仕事のやりがいを聞いた時、動物たちとの関係性を一番に大切に想う言葉が出てきたことです。私はてっきり「お客様から声援をいただいた時」という言葉が返ってくるのかなと思っていたので、心から動物を信頼する彼女の姿勢に胸が熱くなりました。日々真剣に、いのちある動物たちと向き合っている本多さんだからこそ、人々に感動を与え続けられるのだと感じています。

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